品井沼干拓の遺構を辿る -自転車の旅

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 僕が品井沼干拓に興味をもったのは、趣味で円筒分水を調べるなかで利水関係の本を探していて、たまたま「品井沼干拓」が目に留まったのでした。
 一大土木事業の遺構を間近に見て回れるということで思い立ち、関連施設をサイクリングで巡りました。

品井沼干拓

 品井沼は宮城県の旧鹿島台村、現在の大崎市鹿島台一帯に広がる沼でした。
 品井沼周辺にはいくつもの河川が流れ込み、増水期には洪水被害がしばしば引き起こしたため、地域の住民の生活を苦しめたそうです。
 このような状況を打破すべく地域の排水を改善したのが品井沼干拓、その象徴的な存在として語られるのが、「わらじ村長」とよばれ尊敬を集めた鎌田三之助という人物です。

干拓の歴史

 当初品井沼は18平方キロメートル・東京ドーム390個分もの広さがあり、吉田川や鶴田川をはじめ数多くの河川が流入していました。 品井沼の干拓事業は江戸時代・1693年から始められ、昭和まで約300年ほどに渡って続いたそうです。
 新田を開発する目的で「元禄潜穴」による排水路を通した結果、沼は小さくなり水田が開発されましたが、排水は不十分で地域の洪水は治まりませんでした。

 そのため干拓事業は明治~昭和にかけて300年近く続き、「明治潜穴」・「吉田川サイフォン」などの建造により、ようやく地域の干拓事業を完成させました。

当初の品井沼周辺

 品井沼には吉田川・鶴田川をはじめとした、数多くの河川が流入。
 増水期には鳴瀬川からの逆流により、地域一帯が洪水に見舞われたそうです。

元禄潜穴

 元禄潜穴は距離2.6km近くになるトンネルで、品井沼の水を海まで通す排水路の一部です。
 沼の排水はすすみ品井沼は小さくなり、水田が開発されました。

 元禄潜穴・排水路が築かれても、洪水被害は続きました。

明治潜穴

 明治時代に入って作られた1.3kmほどのトンネルで、排水路が拡張されました。

 増水期に鳴瀬川からの逆流を防ぐための水門「小川閘門」も、この頃作られました。

吉田川サイフォン

 ふたつの潜穴による排水路が整備されても、増水期の排水は十分ではありませんでした。

 そのため、鶴田川は吉田川の河底のトンネル(サイフォン)で立体交差して排水路に直結。
 吉田川と鳴瀬川は「背割堤」により分離。
 それぞれを完全に独立させ、干拓・治水事業が完成しました。

自転車で辿る!

 品井沼干拓に関わる建造物を、作られた順に巡ってきました。
 また品井沼干拓事業と、鎌田三之助の偉業を記念した「鎌田記念ホール」で予習をしてからいきます!
 寄り道を含めて30km弱のコース、ちょうどいいポタリングですね。

 ルートを地図上でつないだら、元禄潜穴・明治潜穴による排水路が浮かび上がってきました。

スタート:鹿島台小学校

 スタートは鹿島台小学校。

 立派ながら一風変わった校門が設置されていますが、これは鳴瀬川の逆流を防ぐために作られた「小川閘門」の一部を、移設したものだそうです。

 小学校となりの公園に、鎌田三之助の銅像。

 度重なる水害で「日本一貧しい村」とまでいわれた鹿島台村のため、みすぼらしい身なりにわらじ姿で奔走したことから、「わらじ村長」と呼ばれ、尊敬を集めたそうです。
 38年間の村長職を無給を貫いたとか。

鎌田記念ホール

 鎌田記念ホールは、グラウンドや体育館などと併設されています。

 なかには「鎌田三之助展示室」という資料館があり、品井沼干拓のことがとてもよく分かります!

 受付で「品井沼干拓遺跡ガイド」という冊子を300円で売っています。

 手作業で製本した、まさに手作りのガイドですが、内容は簡潔・丁寧にまとめられていて、とても読み応えがあります。

 お土産に!

元禄潜穴 穴頭

 元禄潜穴の入り口側。
 水量が多かった?のか、トンネルがほぼ水面にかかっています。

 奥に見える建物は「品井沼干拓資料館」というもので、こちらも立ち寄りたかったのですがあいにく休館日でした。

元禄潜穴第6ずり出し穴

 2.6キロにおよぶトンネルの途中にある「ずり出し穴」といわれる遺構。
 降りて間近で見ることができます。

 当時の技術ではそれだけ長距離のトンネルを一気につなぐことはできず、途中に竪穴をほってつないだそうです。

 当時の工法が開設された看板がたっていました。

 ずり出し穴は10か所作られたようですね。

元禄潜穴 穴尻

 元禄潜穴の出口。

 あまり水が流れていませんでした。
 穴頭がきれいに整備されているのに対して、穴尻はワイルドな感じです。

明治潜穴

「明治潜穴公園」として、大きな公園が整備されています。

 さすがに明治時代に作られただけあって、構造物は大きく・立派に見えます!

 20メートルほど上から全景が見下ろせます。

 しっかりした階段がついているのですが、この日はゲートがかかっていては入れませんでした。残念!

 反対側から。
 階段を降りていければ、トンネル入り口がよく観察できるのになあ。

吉田川サイフォン

 「川の下に、川を通す」という、そんなことをする・出来るんだ・・というのを僕はここで初めて知りました!

 こちらは鶴田川の上流側。
 残念ながら、水量が多くてサイフォンの入り口は見えませんでした。

 こちらは下流側。
 やはりトンネルは見えません。

 サイフォンを境に、こちら下流側から河口までは「高城川」と名前を変えるそうです。

 吉田川の下を交差する形で、水を通していることが図解されています。

 7本のトンネルが通されているのですね。
 水量が少ない時期を見計らって、再訪しなければ!

品井沼干拓の遺構を巡って

 それぞれの施設までは数キロ程度しかないので、本当にポタリングに最適!
 品井沼干拓という一大土木事業が偲ばれる場面がとても多く、心の底から旅をしている実感、とても充実した時間を過ごせました。

 ただ、予めある程度のことは知って行かないと、どれを見ても「なにこれ?」となることは間違いないですね。
 その意味では、最初に「鎌田記念ホール」の「鎌田三之助展示室」で予習をすることは、本当におすすめです。

 今回紹介したなかでは、「元禄潜穴 穴尻」だけは車を止めるスペースがなかったかもしれませんが、それ以外はだいたい整備された駐車場がそばにあります。
 干拓の歴史を、大切に保管しているのを感じますね。

 

コメント

  1. 井出浩一 より:

    はじめまして。
    特にロードバイクを始めたきっかけの話、
    興味深く読ませていただきました。
    僕は去年始めたばかりで
    ほとんど室内ライドなのですが、
    最近久しぶりに外を走って楽しかったので、
    同じように目的を見つけて走りにいきたいなと思います。

    • タビオ タビオ より:

      コメントありがとうございます!
      膝の痛みもほぼなくなった今では、膝を怪我して自転車に乗るきっかけができて、良かったなあ・・と思っています。
      僕も冬はほとんどZWIFTばかり、本格的に外中心に乗るのは花粉シーズンが収まる4月末くらいから。
      待ち遠しいです!

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